帯同ビザで家族と海外へ移住する方法

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

帯同ビザで家族と海外へ移住する方法のイメージ写真

海外移住の際に配偶者・子ども・家族を帯同する場合は、主申請者(スポンサー)のビザとは別に帯同ビザ(Dependant Pass / Dependent Visa)の取得が必要です。帯同ビザはスポンサーのビザ種別・月給・在留期間によって要件と滞在期間が決まります。日本人経営者・就労者が多い香港・シンガポール・マレーシアの3拠点の帯同ビザ制度を比較します。

3拠点の帯同ビザ比較

項目 香港 シンガポール マレーシア
制度名 帯同者ビザ(Dependant Visa) Dependant’s Pass(DP) Dependant Pass(DP)
対象家族 配偶者・18歳未満の未婚の子・60歳以上の親(PR保有スポンサーの場合) 配偶者・21歳未満の未婚の子 配偶者・18歳未満の子・養子・両親
スポンサー要件 就労ビザ保有者または香港永住権者 EP・S Pass等の就労パス保有者 EP保有者(月給RM5,000超)
処理時間の目安 書類完備後通常6週間 オンライン申請で通常数日〜数週間 数週間〜数ヶ月
滞在期間 スポンサーの滞在期間にリンク スポンサーのパス期間にリンク EPの滞在期間にリンク

香港の帯同者ビザ

香港の帯同者ビザは、就労ビザ(GEP)または香港永住権者(HKPR)のスポンサーが申請できます。対象となる家族は配偶者・未婚の未成年子(18歳未満)です。香港永住権者がスポンサーの場合は、60歳以上の親も申請対象に含まれます。

処理時間は書類完備・手数料受領後通常6週間です。滞在期間はスポンサーの滞在期間に準じます。ただし就学目的の帯同者については初回12ヶ月の滞在期間が付与されます。スポンサーは財政的サポート(生活水準が生活保護ラインを大幅に上回ること)と適切な住居の提供を証明する書類が必要です。帯同者ビザの承認は入境事務処理局局長の完全な裁量によります。

帯同者ビザ保有者は香港での就労が原則認められていません。就労を希望する場合は、別途就労ビザの申請が必要です。子どもが香港の学校に通学する場合は帯同者ビザのままで可能です。

シンガポールの Dependant’s Pass

シンガポールのDependant’s Pass(DP)は、Employment Pass(EP)・Personalised Employment Pass(PEP)・EntrePass・S Pass などの就労パス保有者が申請できます。対象家族は配偶者と21歳未満の未婚の子です。

EP保有者の月給水準によって申請できる家族の範囲が変わる場合があります。最新の資格要件はシンガポール人材省(MOM)の公式サイトで確認してください。DP保有者はシンガポールでの就労に制限があり、就労を希望する場合はLetter of Consent(LOC)またはEPなどの別途許可が必要です。

申請はオンラインで行い、承認後は入国してパスカードを取得します。パスの有効期間はスポンサーのEPの有効期間にリンクしています。スポンサーのEPが取り消されると、DP保有者の在留資格も連動して失効します。

マレーシアの Dependant Pass

マレーシアのDependant Passは、EP保有者の月給がRM5,000を超える場合に配偶者・18歳未満の子・養子・両親を帯同できます。2026年6月1日の改訂後は、Category I・II・IIIのすべての区分でDependant Passの申請資格が付与されました。

申請はESD(出入国管理局出張所)に行います。必要書類には婚姻証明書・出生証明書・EPカードのコピーなどが含まれます。Dependant Passの滞在期間はEP保有者の在留期間に準じます。帯同者がマレーシアで就労する場合は、別途就労許可(Dependant Pass Special Work Pass)が必要です。

帯同ビザの申請タイミング

帯同ビザはスポンサーのビザが発給された後に申請するのが一般的です。スポンサーのビザと同時申請を受け付けている国もありますが、帯同ビザの審査はスポンサーのビザ承認後に開始されます。移住計画を立てる際は、スポンサーのビザ→帯同者のビザという順序で期間を見積もり、スポンサーが先に現地で勤務を開始し、その後帯同者を呼び寄せるケースが多くあります。現地への転入後は住民登録に相当する手続き(香港ではIDカード取得等)を速やかに行うことが生活インフラの整備につながります。

子どもを帯同する場合は現地の学校への入学時期も考慮します。学校の入学申請には在留許可(ビザ)の提示を求める場合があり、ビザ取得が入学スケジュールに影響することがあります。帯同ビザの申請は早めに着手し、学校の入学申請と並行して進めることをお勧めします。

帯同ビザと現地での生活

帯同ビザ保有者は現地の医療・教育サービスを利用できます。ただし保険への加入条件や医療費の自己負担割合は就労ビザ保有者と異なる場合があります。現地の医療保険への加入は早めに手配することが、不測の事態への備えとなります。

海外在住中も日本の住民票・国民健康保険・年金の手続きが必要です。海外転出届を提出した場合は国民健康保険の資格を失いますが、出国前に任意継続被保険者への切り替えなどの対応が可能です。年金については海外在住者向けの任意加入制度があります。出国前に各市区町村の窓口または日本年金機構に確認してください。

帯同ビザ申請の共通注意点

3拠点いずれも、帯同ビザはスポンサーのビザが有効であることが前提です。スポンサーのビザが失効・取り消しになった場合は、帯同者のビザも連動して失効します。このため、スポンサーのビザ更新を確実に行うことが家族全員の在留資格を守る最重要課題です。スポンサーが転職する場合は、新しい雇用主でのビザ切り替えが完了するまで帯同者の在留資格も一時的に不安定になるため、転職スケジュールは帯同者への影響を考慮して組む必要があります。

帯同者が現地で就労を希望する場合は、各国の就労許可を別途取得する必要があります。帯同ビザのみでの就労は在留資格違反となる可能性があるため、就労前に必ず現地の入国管理制度を確認してください。子どもの教育については、帯同者ビザで現地の学校への通学が認められる場合がほとんどですが、学校入学の条件として就学ビザを別途求める機関もあります。帯同ビザ申請に際して書類に虚偽記載があった場合は、申請拒否や今後の申請への悪影響が生じる可能性があります。すべての書類は正確・最新の情報をもとに作成し、疑問点は申請前に各国入国管理当局または認可代理人に確認することをお勧めします。

帯同者の銀行口座開設

帯同ビザで現地に滞在する配偶者・家族は、現地の銀行口座を開設できます。ただし就労許可がない場合、収入証明書の提出ができないため、審査が厳しくなることがあります。多くの銀行では旅券・ビザ・住所証明(公共料金の領収書など)・身分証明書を審査書類として求めます。

香港では銀行がリスクベースの顧客デューデリジェンス(CDD)を義務付けられており、口座開設の可否は各行の審査基準によって異なります。シンガポールでも同様に、AML/CFT規制に基づく審査があります。マレーシアでは外国人の口座開設に旅券・ビザ・住所証明が必要です。いずれの拠点でも、口座開設前に対象銀行の要件を事前確認することをお勧めします。就労がない場合でも、スポンサーの給与振込口座と共有の生活費口座を使い分けることで日常の支出管理がしやすくなります。

CRS(共通報告基準)と帯同ビザ保有者

香港・シンガポール・マレーシアはいずれもCRS(共通報告基準)参加国です。帯同ビザで現地に滞在している間に開設した金融口座の情報は、日本の国税庁に自動的に交換されます。帯同者が現地で金融資産を保有する場合、日本の確定申告において国外財産調書の提出義務が生じる場合があります(5,000万円超の国外財産保有の場合)。個別の税務判断は税理士にご相談ください。

当社の案内

当社(ADEG)は香港・マレーシア・ラブアンの法人設立代行を承っており、就労ビザ・帯同ビザの情報提供と相談受付も行っています。ビザ申請そのものは各国の認可代理人が担当しますが、設立と合わせた総合的なご相談をお受けしています。帯同家族の人数・年齢・就労予定を事前にお伝えいただくと、各拠点の比較がよりスムーズに進みます。お問い合わせはお電話(050-4560-1792、平日10:00〜19:00)またはフォームからどうぞ。

香港の就労ビザ詳細は香港の就労ビザ申請ガイド、マレーシアのEPはマレーシアEP申請ガイドをご参照ください。

マレーシアのEmployment Pass(EP)とは何ですか?

Employment Pass(EP)はマレーシアで外国人が就労するために必要なビザです。2026年6月1日以降の基準では、カテゴリIが月給RM20,000以上、カテゴリIIがRM10,000〜RM19,999、カテゴリIIIがRM5,000〜RM9,999(製造業はRM7,000)です。会社側の要件(設立資本金・事業実態など)もあるため、詳細はマレーシア入国管理局または担当者にご確認ください。

香港の起業家ビザ(投資による入境)の取得要件は何ですか?

香港入境事務処(ImmD)の「投資による入境」(Admission for Investment)は、香港に合法的に設立された会社の株主・共同経営者を対象とした在留資格です。申請は個別の裁量審査で、香港経済への貢献(投資額・事業の実行可能性・雇用創出など)が審査されます。承認は保証されておらず、要件は入境事務処の公式サイトをご確認ください。

帯同ビザの申請はできますか?

香港・マレーシアともに、就労ビザを取得した本人の配偶者・子どもを帯同するビザ制度があります。香港では「扶養家族として入境」(Dependent Visa)、マレーシアでは「依存パス(Dependent Pass)」として申請できます。申請要件・所要期間は個別の状況によって異なるため、担当者にご確認ください。

海外法人を設立すれば就労ビザは取得しやすくなりますか?

海外法人の設立は就労ビザ申請の要件の一部となる場合がありますが、それだけでビザが自動的に取得できるわけではありません。ビザ審査では事業の実態・投資額・雇用創出・申請者の背景などが総合的に判断されます。ビザの申請可否については現地の入国管理局または専門家にご確認ください。

出典

  • 香港入境事務処理局「帯同者ビザ」(確認日 2026-10-17)https://www.immd.gov.hk/eng/services/visas/residence_as_dependant.html
  • シンガポール人材省(MOM)「Dependant’s Pass」(確認日 2026-10-17)https://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/dependants-pass
  • ESD「Employment Pass・Dependant Pass」(確認日 2026-10-17)https://esd.imi.gov.my/portal/expatriates/myxpats/key-services/employment-pass/
  • ESD「Revised Employment Pass Salary Policy」(確認日 2026-10-17)https://esd.imi.gov.my/portal/latest-news/announcement/announcement-266-ep-salary-policy-2026/

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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