外国子会社合算税制をわかりやすく解説

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

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外国子会社合算税制とは

外国子会社合算税制は、日本の居住者や内国法人が低税率国の外国法人を利用した租税回避を防ぐための制度で、タックスヘイブン対策税制とも呼ばれます。根拠条文は租税特別措置法第66条の6から第66条の9です。2018年4月1日以後に開始する事業年度から、現在の3区分制度が適用されています。

この制度の対象となるのは「外国関係会社」と呼ばれる会社です。日本の居住者・内国法人などが直接または間接に発行済株式等の50%超を保有する外国法人が外国関係会社に該当します。日本側で課税対象となる株主は、外国関係会社の発行済株式等の10%以上を保有する者です。合算された所得は日本の親会社の所得に上乗せされ、法人税または所得税として課税されます。

制度の目的は、実体のないペーパーカンパニーや低税率国に資金を留置するキャッシュボックス法人を通じた課税回避に対応することにあります。一方、所在地国で実質的な経済活動を営む法人については、後述する経済活動基準をすべて満たせば適用除外となる仕組みが設けられています。この区別が、外国子会社合算税制を理解する上での核心です。

外国関係会社の3つの区分

外国関係会社はその性質と租税負担割合に応じて3つの区分に分類されます。平成29年度税制改正によって整理されたこの3区分制度では、区分ごとに課税方式が異なります。まず各区分の概要を表で確認してください。

区分 主な対象 課税方式
特定外国関係会社 ペーパーカンパニー・キャッシュボックス・財務大臣が指定する国・地域に所在する会社など 所得全額を合算。経済活動基準による適用除外なし
対象外国関係会社 特定外国関係会社以外で、租税負担割合が20%未満の会社 経済活動基準をすべて満たせば適用除外。満たさなければ所得全額を合算
部分対象外国関係会社 租税負担割合が20%以上の会社でも、受動的所得(配当・利子・使用料・有価証券譲渡益など)がある会社 受動的所得(部分適用対象金額)のみを合算

特定外国関係会社に分類されると、経済活動基準を充足していても合算課税を免れることはできません。対象外国関係会社は、次に説明する4つの経済活動基準をすべて満たすことで適用除外となります。部分対象外国関係会社については、課税対象となる部分適用対象金額が2,000万円以下などの要件を満たす場合、部分合算課税が免除されることがあります。

「キャッシュボックス」とは、受動的所得(配当・利子・使用料等の特定収入)がその総収入金額に占める割合が高い法人のことです。事業実態があっても、収益構造が特定収入に偏っている場合には特定外国関係会社に該当する可能性があります。設立前に事業モデルの確認を行い、収益の性質についても専門家に確認することが大切です。また、対象外国関係会社として適用除外を受けるためには、4つの経済活動基準すべての充足が必要となります。

経済活動基準(適用除外要件)

対象外国関係会社が合算課税の適用除外を受けるためには、次の4つの経済活動基準をすべて満たす必要があります。一つでも基準を欠くと適用除外が認められず、所得全額が合算対象となります。

  • 事業基準:株式の保有・管理、融資、知的財産権の保有などを主たる事業としていないことが求められます。純粋な持株会社や資金管理のみを目的とする会社は、この基準を満たさない場合があります。実際の商品売買・製造・サービス提供などが主業であることが必要です。
  • 実体基準:主たる事業を行うために必要な事務所・店舗・工場等の固定施設が所在地国にあることが求められます。登記住所だけが存在する状態では実体基準を満たさず、実際に業務を行う物理的拠点の設置が必要です。
  • 管理支配基準:外国関係会社の本店所在地国において、事業の管理・支配・運営を自ら行っていることが必要です。日本の親会社が意思決定をすべて行っている場合は管理支配基準を満たさないとされ、現地での経営判断の実施が問われます。
  • 所在地国基準(または非関連者基準):主たる事業が所在地国内で行われているか、非関連者との取引が主体であることが求められます。卸売業・銀行業・保険業・リース業などは非関連者基準が適用され、事業の種類によって判定基準が異なります。

これら4つの基準をすべて充足することで、対象外国関係会社は適用除外となり、日本での合算課税を免れることができます。適用除外を受けるためには、各基準の充足状況を証明する書類の整備と適切な税務申告が必要です。税務調査に備え、現地での事業活動の実態を示す資料を継続的に保管しておくことが大切です。

租税負担割合の判定基準

外国関係会社がどの区分に該当するかは、所在地国で実際に支払う税負担の所得に対する割合(租税負担割合)によって判定されます。この割合は法令に基づく計算式によって算出します。

租税負担割合 区分の判定
20%未満 対象外国関係会社として所得全額が合算対象(経済活動基準充足で除外可)
20%以上 部分対象外国関係会社として受動的所得のみ部分合算
27%以上(令和5年度改正後) 特定外国関係会社の一部について適用除外の可能性あり

令和5年度の税制改正で、特定外国関係会社に関する適用除外の閾値が30%以上から27%以上に変更されました。改正前は30%以上が適用除外の基準でしたが、現在はより低い水準でも適用除外を認める方向で改正されました。この変更は国際基準との整合性を図るための改正です。

香港法人の場合、利得税は最高16.5%(HK$200万超の課税所得)です。この税率は外形上では20%を下回るため、事業の実態や経済活動基準の充足状況によっては外国子会社合算税制の対象となる可能性があります。マレーシアの一般法人税率は24%であるため、通常の事業法人は20%以上に該当することが多くなります。ただし個別の判定は必ず税理士に確認してください。

グローバル・ミニマム課税との関係

2023年度(令和5年度)税制改正では、OECD/G20の合意を受けて「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」(グローバル・ミニマム課税)が創設されました。令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から、所得合算ルール(IIR)が適用されます。軽課税所得ルール(UTPR)と国内ミニマム課税(QDMTT)は令和8年4月1日以後の開始事業年度から適用される予定です。

グローバル・ミニマム課税は年間連結収益7.5億ユーロ以上の多国籍企業グループが対象であり、最低税率15%未満の国に子会社を持つ場合に差額分が課税されます。外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは別の制度ですが、低税率国に設立した法人への課税強化という点では同じ方向性を持っています。中小企業は通常このグローバル・ミニマム課税の適用対象外となりますが、外国子会社合算税制は規模を問わず適用されるため注意が必要です。

CRS(共通報告基準)との関係

CRS(Common Reporting Standard、共通報告基準)は、金融機関が非居住者の口座情報を自国の税務当局に報告し、各国当局間で情報を自動的に交換する国際的な枠組みです。日本はこの枠組みに参加しており、海外金融機関における日本居住者の口座情報は日本の国税庁に自動的に提供されます。令和6事務年度には約275万件の日本居住者に関するCRS情報が交換されたと報告されています。

外国子会社合算税制の申告を誤った場合や申告漏れが生じた場合でも、CRSを通じて海外口座の保有状況が日本の税務当局に把握されます。外国関係会社が海外で保有する口座の情報も、各国の金融当局を通じて国際的に共有されます。外国子会社合算税制とCRSはともに国際的な租税回避への対策として機能しており、海外法人に関連する税務申告は正確に行う必要があります。

専門家への相談

外国子会社合算税制は、適用対象となる会社の判定・経済活動基準の充足確認・合算対象所得の計算・申告書作成など、高度な税務知識が必要な場面が多くあります。適用除外の要件を満たすかどうかの判断や、部分合算対象金額の計算については、状況によって個別の検討が必要です。個別の税務判断は必ず税理士にご相談ください。

ADEGでは、各国で認可を受けた現地事業者と連携し、海外法人の設立から年次申告・税務手続きのサポートまでをご提供します。海外法人の設立を検討されている方や、既存の海外法人の税務コンプライアンスについてお悩みの方は、フォームまたはお電話(050-4560-1792、平日10:00〜19:00 日本時間)にてお気軽にご連絡ください。

香港法人の利得税率はいくらですか?

香港の利得税率は、課税対象利益が初めてのHK$200万以下の部分に8.25%、超える部分に16.5%が適用されます(2018/19課税年度以降)。ただし香港の利得税は源泉地主義を採用しており、香港を源泉としない利益は課税対象外となる場合があります。個別の判断は税理士にご相談ください。

日本の外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは何ですか?

外国子会社合算税制(措置法66条の6)は、外国子会社の租税負担割合が20%未満の場合、その所得を日本の親会社の所得に合算して課税する制度です。ただし経済活動基準(事業基準・実体基準・管理支配基準・所在地国基準)を満たす場合は除外されます。具体的な適用可否は税理士にご確認ください。

香港の利得税は海外で稼いだ利益にも課税されますか?

香港の利得税は源泉地主義を採用しており、香港を源泉とする利益のみが課税対象です。事業活動の場所に基づく「オペレーションズ・テスト」によって判定されます。海外での活動から生じる利益が課税対象か否かは個別の事業状況によって異なり、税理士への確認が必要です。

ラブアン法人の税率はいくらですか?

ラブアン事業活動税法(LBATA)に基づき、トレーディング活動(貿易・サービス等)には監査済み純利益の3%、非トレーディング活動(純粋な投資保有等)には0%の税率が適用されます。ただし優遇税率の適用には実質要件(物理的な事務所・フルタイム従業員の常駐・適切な運営費用の支出)を満たす必要があります。実質要件を満たさない場合は24%の標準税率が適用されます。

マレーシアの法人税率はいくらですか?

標準の法人税率は24%です。一定の要件を満たす中小企業(Sdn. Bhd.)には段階税率が適用され、課税所得RM150,000以下が15%、RM150,001〜RM600,000が17%、超過部分が24%です(課税年度2023〜2024の確定値)。個別の適用条件は税理士にご確認ください。

CRS(共通報告基準)とは何ですか?

CRS(Common Reporting Standard / 共通報告基準)はOECDが策定した金融口座情報の自動的交換の枠組みで、各国の金融機関が非居住者の口座情報を収集し、口座保有者の居住地国の税務当局へ自動的に提供する制度です。日本では令和6年(2024年)に約275万件の情報交換が行われています。香港は2017年から、マレーシアは2018年からCRSを実施しています。

出典

  • 国税庁「外国子会社合算税制等に関する改正のあらまし(平成29年度改正)」(確認日 2026-10-17)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180516/pdf/01.pdf
  • 国税庁「外国子会社合算税制に関するQ&A(平成29年度改正関係等)」(確認日 2026-10-17)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180111/pdf/01.pdf
  • 国税庁「内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例の見直し(令和5年度)」(確認日 2026-10-17)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2023/pdf/J.pdf
  • 国税庁「共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換」(確認日 2026-10-17)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/index.htm

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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