海外子会社の設立必要書類と各国の公的費用

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

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海外子会社の設立に必要な書類の全体像

海外に子会社を設立する際は、設立先の国・地域に応じた現地の申請書類を用意するとともに、日本側でも外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく届出が必要な場合があります。必要書類は設立先ごとに異なりますが、定款・取締役の同意書・法定宣言書などは多くの国で共通して求められます。

書類の準備から提出までは、現地の会社設立専門機関(Companies Registryなど)を通じて行います。事前に必要書類を把握し、漏れなく準備することがスムーズな設立につながります。現地の法制度や提出手続きに精通した専門家の関与が求められる場面も多くあります。

書類の不備や記載ミスがあると申請が差し戻され、設立完了までに余計な時間がかかります。複数の書類が互いに整合していることを確認したうえで申請に臨むことが大切です。外国語で作成された書類については、翻訳や認証が別途必要になるケースもあります。

以下に、香港・ラブアン・マレーシアの各地域について、設立に必要な書類と公的費用を示します。日本側で必要な外為法の届出については「日本側の手続き」の節をご覧ください。

各国共通の申請書類

設立先の国・地域にかかわらず、多くの場合で以下の書類が必要となります。事前に用意しておくことで、申請手続きをスムーズに進められます。

  • 定款(Memorandum and Articles of Association または Articles of Incorporation)
  • 取締役および株主の身分証明書(パスポートのコピーなど)
  • 取締役就任同意書
  • 登録住所の証明書類(一部の国では必須)
  • 事業内容の説明書類(業種によっては追加書類が必要な場合あり)

上記はあくまでも一般的な書類の例であり、具体的な要件は設立先ごとに異なります。最新の要件は各国の公的機関で確認することをお勧めします。書類の翻訳や公証(Notarization)が必要な場合もあるため、設立前の確認が大切です。

香港法人の必要書類と公的費用

香港の私会社(Private Company)は、会社登記局(Companies Registry)への申請によって設立します。主な申請書類と公的費用は以下のとおりです。

書類名 提出先 公的費用(参考)
Form NNC1(設立申請書) 会社登記局(Companies Registry) 電子申請: HK$1,545 / 書面申請: HK$1,720
定款(Articles of Association) 会社登記局 設立料に含む
Form IRBR1(事業登録申請) 税務局(Inland Revenue Department) HK$2,200(1年間)

電子申請(e-Registry)を利用することで、書面申請と比べて設立登記料を抑えることができます。設立後は事業登録(Business Registration)の更新が毎年必要です。会社設立と同時に会社秘書役(Company Secretary)の選任も必要となります。

香港は世界的に有数のビジネス拠点であり、設立手続きは整備されています。書類が正確に準備されていれば、短期間で設立を完了できます。事業登録証(Business Registration Certificate)は銀行口座開設などでも必要となるため、設立後すぐに取得することをお勧めします。

ラブアン法人の必要書類と公的費用

ラブアン法人(Labuan Company)の設立は、ラブアン金融サービス庁(Labuan FSA)の認可を受けた信託会社(Licensed Trust Company、LTC)を通じて申請します。LTC経由での申請が法的に義務付けられているため、個人や企業が直接申請することはできません。

書類名 提出先 公的費用(参考)
会社名の事前予約申請 Labuan FSA(LTC経由) USD 30
定款(Memorandum and Articles of Association) Labuan FSA(LTC経由) —
取締役就任同意書 Labuan FSA(LTC経由) —
Form 6(法定コンプライアンス宣言書) Labuan FSA(LTC経由) —
会社登録料(払込資本RM50,000以下) Labuan FSA USD 300

ラブアン法人の設立では、書類が完備されれば24時間以内に承認が下りることもあります。申請には定款の作成や取締役の本人確認書類のほか、事業内容に応じた追加書類が必要になる場合があります。

ラブアン法人の維持には年次費用も発生します。年次申告料は2026年1月以降、USD 1,000となっています。また、ラブアン事業活動税法(LBATA)に基づく税制上の特典を享受するためには、実質要件(物理的な事務所・フルタイム従業員・運営費用)を満たす必要があります。

マレーシア(Sdn. Bhd.)の必要書類と公的費用

マレーシアの居住者私会社(Sendirian Berhad、Sdn. Bhd.)は、Companies Act 2016(Act 777)に基づき、企業委員会(Companies Commission of Malaysia、CCM)のMyCoIDポータルを通じて申請します。

書類名 提出先 公的費用(参考)
会社設立申請(MyCoIDポータル) 企業委員会(CCM) RM 1,000
取締役・株主の本人確認書類 CCMへ提出 —
マレーシア居住者取締役の就任同意書 CCMへ提出 —

マレーシアでは取締役の中に少なくとも1名のマレーシア居住者(Resident Director)が必要です。また、設立後30日以内に会社秘書役(Company Secretary)を任命する義務があります。これらの要件を満たさないと設立手続きが進められないため、事前に確認しておく必要があります。

マレーシアはASEAN最大級の経済圏を持ち、外資系企業の進出も活発です。Sdn. Bhd.は外国人が100%出資できる業種も多く、現地法人設立の選択肢として広く利用されています。設立後は毎年、CCMへのAnnual Return(周年報告)の提出も必要です。

日本側の手続き(外為法の届出)

日本の居住者が海外に子会社を設立する際は、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく対外直接投資の事後報告が必要な場合があります。報告は日本銀行を経由して財務大臣に対して行われます。報告期限の目安は投資実行後20日以内です。

投資額が一定の金額基準(例: 10億円未満等)を下回る場合、報告が免除されることがあります。具体的な免除要件は外為法の規定に基づくため、個別の状況については専門家に確認することをお勧めします。特定の業種(防衛・情報通信など)は事前届出が必要な場合もあります。

また、海外子会社を設立した場合は、外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の適用要件に該当しないかを確認することも必要です。CRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報の自動的交換が導入されているため、海外法人の情報は日本の税務当局と共有されます。個別の税務判断は必ず税理士に相談してください。

書類準備で確認すること

海外子会社の設立書類を準備する際は、現地機関が求める書類の最新版を使用することが大切です。フォームの改定や手数料の変更が生じることもあるため、申請直前に公式機関のウェブサイトで確認することをお勧めします。

外国人の身分証明書としてパスポートのコピーを提出する場合、国によっては公証(Notarization)や認証(Apostille)が必要となります。事前に要件を確認し、必要な認証手続きを完了させてから申請に進むことで、差し戻しによる遅延を防ぐことができます。

定款は会社の基本的なルールを定める文書であり、会社の目的・株式・取締役の権限などを記載します。現地の法令に沿った内容でなければ申請が受理されません。現地の専門家とともに定款を作成することで、法的要件を満たした書類を確実に準備できます。

設立後の事業運営に必要な銀行口座開設や各種ライセンス取得においても、設立書類(定款・設立証明書など)の提出が求められます。設立書類は原本またはコピーを適切に保管しておくことをお勧めします。

設立支援のご相談

当社は各国で認可を受けた現地事業者と連携し、香港・ラブアン・マレーシアへの会社設立を支援しています。必要書類の確認から申請代行まで、一貫したサポートをご提供します。

詳細は海外法人設立の支援または料金ページをご覧ください。お問い合わせはお問い合わせフォームまたは電話(050-4560-1792、平日10:00〜19:00 日本時間)にてお気軽にどうぞ。

出典

  • 香港会社登記局(Companies Registry)「Incorporation – Local Company」(確認日 2026-10-17)https://www.cr.gov.hk/en/companies/incorplocal.htm
  • ラブアン金融サービス庁(Labuan FSA)「Labuan Companies Act 1990 – Incorporation」(確認日 2026-10-17)https://www.labuanfsa.gov.my/business/incorporating-a-labuan-company
  • マレーシア企業委員会(Companies Commission of Malaysia)「Incorporation of Company – Local Company」(確認日 2026-10-17)https://www.ssm.com.my/Pages/Services_Offered/Incorporation_of_Company/Local_Company/Incorporation_of_Company_%28Local%29.aspx
  • 財務省・日本銀行「対外直接投資に関する届出」(確認日 2026-10-17)https://www.boj.or.jp/statistics/br/outline/index.htm

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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