ラブアン会社設立の手順と費用

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

ラブアン会社設立の手順と費用のイメージ写真

ラブアン(Labuan)とは

ラブアンはマレーシアの連邦直轄領であり、ボルネオ島沖に位置する国際金融センターです。ラブアン金融サービス局(Labuan Financial Services Authority、LFSA)が監督し、ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990、Act 441)に基づいて会社設立が行われます。トレーディング活動を行う会社には監査済み純利益の3%、非トレーディング活動の会社には0%の税率が適用される税制が特徴です。

ラブアンで会社を設立するには、LFSAから認可を受けたラブアン信託会社(Labuan Trust Company、LTC)を通じて申請することが法律上必須となっています。個人や企業が直接 LFSA に申請することはできません。LTC はラブアン域内に実際に事務所を持ち、LFSA から認可を受けた事業者で、会社設立から年次申告・コンプライアンス管理まで幅広く支援します。

設立後に必要な実質要件(物理的事務所・フルタイム従業員・年次運営費用)を自社で充足するか、LTC の提供するサービスを活用するかは、事業の規模や目的によって異なります。どのような体制が自社に適しているかは、専門家への相談を通じて確認することをお勧めします。

設立の流れ

ラブアン会社設立の手続きは次の6つのステップで進みます。信託会社(LTC)が手続き全体をコーディネートします。

  1. 信託会社(LTC)の選定
    LFSAが認可するラブアン信託会社の中から委託先を選定します。LTC は申請書類の作成・提出・管理を代行します。
  2. デューデリジェンスの実施
    LTC による本人確認・事業内容の確認が行われます。パスポートのコピー、住所証明書類、事業計画書などを提出します。
  3. 会社名の予約
    COR@Lシステムを通じて会社名を予約します。費用は USD 30 で、有効期間は3ヶ月です。名称の承認は通常24時間以内に下ります。
  4. 設立書類の準備と提出
    定款(Memorandum and Articles of Association)、取締役同意書、法定コンプライアンス宣言書(Form 6、信託会社による宣言)を作成し、登録料とともに提出します。
  5. LFSAの承認
    書類が完備されてから24時間以内に LFSA の承認が下ります。承認後に設立証明書が発行されます。
  6. 年次義務体制の整備
    実質要件(物理的事務所・フルタイム従業員・年次運営費用)の充足状況を確認し、毎年の税務申告・年次料の支払い体制を整えます。

設立費用と年次費用一覧

LFSAに支払う公的費用は次のとおりです。信託会社(LTC)へのサービス料は別途発生します。当社サービス料金については 料金ページ をご覧ください。

費用項目 金額 備考
会社名予約(COR@L) USD 30 有効期間3ヶ月
設立登記料(払込資本 RM50,000 以下) USD 300 申請時に支払い
設立登記料(払込資本 RM50,000 超〜RM100万未満) USD 600 申請時に支払い
設立登記料(払込資本 RM100万以上) USD 1,500 申請時に支払い
年次料(2025年12月31日まで) USD 800 毎年1月15日までに支払い
年次料(2026年1月1日以降) USD 1,000 毎年1月15日までに支払い
税務申告書提出期限(YA 2025〜) — 決算後7ヶ月以内(自己申告制度)

設立時の必要書類

設立申請に必要な主要書類は次のとおりです。LTC の指定するフォーマットに従い作成します。デューデリジェンス資料は事前に準備しておくと手続きがスムーズです。

  • 定款(Memorandum and Articles of Association)
  • 取締役全員の同意書および本人確認書類(パスポートコピー・住所証明書)
  • 株主の本人確認書類(法人株主の場合は登記証明書等)
  • 法定コンプライアンス宣言書(Form 6)—信託会社が署名・提出
  • 登録費用の支払い証明
  • 事業内容・目的を説明する書類(LTC により追加要求される場合あり)

設立時の最低要件

ラブアン会社を設立するための最低要件は次のとおりです。日本居住者が役員・株主を務める場合でも要件を満たすことができます。

取締役
最低1名の取締役が必要です。LTC またはその関連会社が常駐取締役(Resident Director)を提供するケースが多く、日本居住の方が取締役に就任することも可能です。国籍・居住要件は法律上定められていません。
会社秘書役
最低1名の常駐秘書役(Resident Secretary)が必要です。LTC が兼任することが一般的で、LTC のサービスに含まれている場合が多いです。
株主
最低1名から設立できます。個人・法人を問わず株主になれます。無記名株式は認められません。
最低資本金
法定の最低資本金はありません。払込資本の金額は設立登記料の算定基準となります。事業の目的に応じて適切な金額を設定してください。
登録事務所
ラブアン域内に登録事務所が必要です。通常は LTC の事務所住所を使用します。

税制の概要

ラブアン会社に適用される税制は、ラブアン事業活動税法(Labuan Business Activity Tax Act 1990、LBATA)に基づきます。活動の種類により次の税率が適用されます。

活動の種類 税率
トレーディング活動(実質要件充足) 監査済み純利益の3%
非トレーディング活動(純粋株式保有等) 0%
実質要件を充足しない場合 24%(マレーシア標準法人税率)

実質要件(LBATA Section 2B)とは、①ラブアン内での物理的事務所の設置、②フルタイム従業員の常駐、③ラブアン内での年次運営費用の支出を指します。管理系サービス等の事業(item 20)は従業員2名以上・RM50,000以上の年次運営費用が求められます。純粋株式保有(Pure Equity Holding)の会社は実質要件の適用が免除されます。

実質要件を充足しない場合、ラブアン事業活動税法上の優遇税率は適用されず、通常のマレーシア法人税率24%が課される点に注意が必要です。事業の実態・規模・目的に応じて実質要件の充足可否を事前に確認しておくことが、適切な税務管理につながります。ラブアンの税務申告は2025年度(YA 2025)以降、自己申告制度(Self-Assessment System、SAS)に移行しており、申告期限は決算後7ヶ月以内となっています。

日本との税務上の留意点

ラブアンの税率(3%または0%)は、日本の外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制、租税特別措置法66条の6〜66条の9)における課税対象の判定基準(租税負担割合20%未満)を下回ります。そのため、日本居住者または日本の法人がラブアン会社を50%超保有する場合、合算課税の対象となる可能性があります。外国子会社合算税制の適用可否は個別の事業内容・保有構造によって異なるため、必ず税理士など専門家にご確認ください。

また、ラブアンは共通報告基準(CRS)の対象であり、金融口座情報は各国の税務当局と自動的に交換されます。日本居住者が保有するラブアン会社の口座情報は日本の国税庁に提供される仕組みとなっています。ラブアン会社の設立・運営にあたっては、日本の税制への影響を事前に専門家と確認した上で判断することが不可欠です。

銀行口座開設について

ラブアン法人の銀行口座は、ラブアン内の金融機関またはマレーシア本土の銀行で開設します。口座開設の可否は各金融機関が独自の審査基準に基づいて判断するものです。事業実態を示す書類・取締役の個人情報・事業計画書などが審査に用いられます。

審査では事業の実態(実際に取引が行われているか)や資金の出所が確認されます。会社設立直後よりも、事業活動の実績が積み上がった段階の方が審査を通過しやすい傾向があります。詳細については 海外銀行口座開設の支援 ページをご参照ください。

ラブアン会社の変更・解散手続き

設立後に取締役・株主・社名などの変更が生じた場合、LTC を通じて LFSA に届け出る必要があります。変更手続きの期限や費用は変更内容によって異なります。会社を解散する場合も LFSA への申請が必要で、未申告・未払い費用がないことを確認した上で手続きを進めます。いずれの手続きも LTC がサポートします。

関連ページ

無料相談のご案内

ラブアン会社設立についてのご質問は、ADEGにお気軽にどうぞ。各国で認可を受けた現地事業者と連携して手続きを進めます。お電話は050-4560-1792(平日10:00〜19:00 日本時間)にて承ります。

出典

  • Labuan Financial Services Authority「Labuan Companies Act 1990(Act 441)」(確認日 2026-10-17)https://www.lfsa.gov.my/
  • マレーシア政府「Labuan Business Activity Tax Act 1990(LBATA)」(確認日 2026-10-17)https://www.laws.gov.my/

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

まずは30分の無料相談で、国と順番を決めましょう

Zoomで、事業の内容とお金の流れを伺います。設立する国が決まっていなくても構いません。