香港法人設立の手順と必要書類

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

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香港法人設立の概要

香港で法人を設立する場合、一般的に選ばれる形態は株式有限責任の私会社(Private Company Limited by Shares)です。設立手続きは会社登記局(Companies Registry)が管轄し、電子申請(e-Incorporation)または書面申請のいずれかで進めます。最低資本金の定めはなく、取締役の国籍・居住要件もありません。

設立時には、会社登記局への申請と並行して内国歳入局(Inland Revenue Department、IRD)への事業登録申請(Form IRBR1)を行います。これにより事業登録証(Business Registration Certificate)が交付されます。両手続きを同時に進められるため、効率よく完了できます。

香港は領土主義(源泉地主義)の課税制度を採用しており、香港域内で生じた利益にのみ利得税が課されます。海外で稼得した利益は原則として香港の利得税の対象となりません。ただし税務上の取り扱いは個別の事業内容により異なるため、詳細は税務専門家にご確認ください。

設立の流れ

香港法人の設立は、大きく次の6つのステップで進みます。各ステップの書類名と提出先、公的手数料を事前に把握しておくと、手続きをスムーズに進められます。

  1. 会社名の決定
    使用可能な英語名(またはアルファベット表記の中国語名)を決定します。会社登記局のオンラインシステムで重複がないかを事前に確認できます。同一または類似する名称がすでに登録されている場合は、別の名称が必要です。
  2. 設立申請書類の準備
    主な書類は Form NNC1(設立申請書)、定款(Articles of Association)、Form IRBR1(事業登録申請書)の3点です。取締役・株主・会社秘書役の氏名・住所・身分証明書情報を正確に記入します。
  3. 会社登記局への申請
    電子申請(e-Incorporation)または書面申請で提出します。電子申請の設立登記料は HK$1,545、書面申請は HK$1,720 です。電子申請の方が手数料は低く設定されています。
  4. 設立証明書の受領
    申請が受理されると、会社登記局から設立証明書(Certificate of Incorporation)が発行されます。これが会社が正式に存在することを証明する書類となります。
  5. 事業登録証の取得
    事業登録証は IRD から交付されます。1年証明書の事業登録料は HK$2,200(2024年4月1日〜2025年3月31日)、3年証明書は HK$5,870 です。証明書の有効期限内に更新手続きを行う必要があります。
  6. 設立後の初期整備
    登記事務所住所の確保、重要支配者登録簿(SCR)の作成、帳簿記帳体制の整備、銀行口座開設の準備を進めます。

設立時の書類と費用一覧

設立時に必要な主な書類と公的手数料を次の表に示します。当社サービス料金は含みません。料金については 料金ページ をご覧ください。

書類名 提出先 公的手数料
Form NNC1(設立申請書) 会社登記局(Companies Registry) HK$1,545(電子)/ HK$1,720(書面)
定款(Articles of Association) 会社登記局(Companies Registry) 設立登記料に含む
Form IRBR1(事業登録申請) 内国歳入局(IRD) HK$2,200(1年)/ HK$5,870(3年)

設立時の最低要件

香港の私会社を設立するために満たすべき最低要件は次のとおりです。日本国籍の方が単独で設立することも可能で、すべての役員に居住地制限はありません。

取締役
最低1名の自然人が必要です。国籍・居住地の要件はありませんが、18歳以上であることが求められます。法人取締役を置く場合でも、必ず1名以上の自然人取締役が必要です。
株主
最低1名から設立できます。個人・法人を問わず株主になれます。取締役と株主を同一人物が兼ねることも可能です。
会社秘書役
1名の会社秘書役が必要です。会社条例第474条に基づき、香港に居住する個人、または香港に事業所を持つ法人が就任できます。唯一の取締役が会社秘書役を兼務することは、会社条例第475条第2項により禁止されています。
登記事務所
香港内の住所が必要です。私書箱は認められません。
資本金
法定の最低資本金はありません。事業の規模や目的に応じて自由に設定できます。

設立後の年次義務と手数料

香港法人は設立後もさまざまな年次義務があります。特に Annual Return(年次報告書)の提出期限は設立記念日から42日以内です。期限を超えると手数料が大幅に増加します。

義務 提出先 期限・手数料
Annual Return(NAR1)提出 会社登記局 設立記念日から42日以内、HK$105(私会社)
遅延提出(42日超3ヶ月以内) 会社登記局 HK$870
遅延提出(3〜6ヶ月) 会社登記局 HK$1,740
遅延提出(6〜9ヶ月) 会社登記局 HK$2,610
遅延提出(9ヶ月超) 会社登記局 HK$3,480
事業登録証の更新 内国歳入局 有効期限前に更新
法定監査(Financial Statements) HKICPA 登録 CPA 毎年実施(休眠会社を除く全会社に義務)
利得税申告書(BIR51)提出 内国歳入局 初回は設立後約18ヶ月、以降は受領後3ヶ月以内

重要支配者登録簿(SCR)について

香港では2018年3月1日に重要支配者登録簿(Significant Controllers Register、SCR)制度が施行されました。発行済み株式の25%超を保有する者などが登録対象です。SCR は会社の登記事務所に保管し、随時更新が求められます。未記入や虚偽記入には HK$25,000 の罰則が設けられています。

SCR は当局から求められた際に提示できる状態を維持することが必要です。設立後すみやかに内容を整備し、出資構成に変動があれば速やかに更新してください。SCR に記録された情報は会社の登記事務所で管理され、一般公開はされません。ただし、警察・廉政公署(ICAC)・税務局などの権限ある機関は閲覧できます。

帳簿の保存期間と法定監査

香港の内国歳入条例(Section 51C)では、すべての会社に対して帳簿を7年以上保存することを義務付けています。違反した場合には HK$100,000 の罰則が科されます。会計記録は毎年の法定監査に使用するため、設立直後から適切に整備しておく必要があります。

香港では休眠会社を除くすべての会社に法定監査が義務付けられています。監査は香港公認会計士協会(HKICPA)登録の公認会計士(CPA)が実施します。監査済み財務諸表は毎年の利得税申告にも必要となります。会計・年次申告の代行については 会計・年次申告の支援 ページをご覧ください。

会社秘書役・登録住所の手配について

取締役が香港に居住していない場合、会社秘書役の選任と登記事務所住所の確保を現地サービスに委ねることが一般的です。会社秘書役は各種書類の提出管理や法令遵守の維持において中心的な役割を担います。会社秘書役サービスの詳細については 会社秘書役・登録住所の手配 ページをご参照ください。

また、取締役や株主の通信先住所は会社登記局のデータベースに登録され、一般に公開されます。一方、居住地住所(私的住所)や完全な身分証番号は非公開となっています。公開情報の範囲については設立前に確認しておくと安心です。

銀行口座開設について

法人設立後は法人口座の開設手続きを進めます。香港の銀行は口座開設の審査において、事業の実態・目的・取引先などを確認します。口座開設の可否は各銀行が独自の基準で判断するものです。設立証明書・事業登録証・定款・取締役の身分証明書・事業計画書などを準備しておくことが一般的です。審査内容や準備書類については 海外銀行口座開設の支援 のページもご参照ください。

なお、香港の金融機関は共通報告基準(CRS)に基づく金融口座情報の自動的交換の対象となっています。日本居住者が香港の法人口座を保有する場合、口座情報が日本の税務当局へ報告される仕組みとなっています。口座開設にあたっては税務上の取り扱いについて税理士など専門家にご確認ください。

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無料相談のご案内

香港法人の設立手続きについてご不明な点は、ADEGにお気軽にご相談ください。各国で認可を受けた現地事業者と連携して手続きを進めます。お電話は050-4560-1792(平日10:00〜19:00 日本時間)にて承ります。

出典

  • 香港政府「会社登記局(Companies Registry)」(確認日 2026-10-17)https://www.cr.gov.hk/
  • 香港政府「内国歳入局(Inland Revenue Department)事業登録」(確認日 2026-10-17)https://www.ird.gov.hk/
  • 香港法務局「会社条例(Companies Ordinance, Cap. 622)」(確認日 2026-10-17)https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap622

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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