アジア4拠点(香港・シンガポール・マレーシア・ラブアン)の法人比較

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

アジア4拠点(香港・シンガポール・マレーシア・ラブアン)の法人比較のイメージ写真

日本人が海外法人を設立する場合、アジアの4拠点(香港・シンガポール・マレーシア・ラブアン)が比較対象として挙がります。それぞれ税制・設立要件・ビザ・維持コストが異なるため、事業モデルと居住計画を整理したうえで選択することが大切です。4拠点の主要項目を一覧表で比較し、選択の判断材料を整理します。当社(ADEG)は香港・マレーシア・ラブアンの設立代行を承っており、シンガポールについては情報提供と相談受付を行っています。

4拠点の主要項目一覧

項目 香港 シンガポール マレーシア ラブアン
主な法人形態 株式有限責任私会社 Pte. Ltd. SDN BHD ラブアン会社
法人税率 8.25% / 16.5%(2段階) 17%(一律) 24%(一般) 3%(取引所得)/ 0%(非取引所得)
非居住者だけで設立 可能 不可(居住取締役必須) 条件付き 可能(登録代理人経由)
資本規制 なし(自由な送金) なし あり(外資業種規制) 外貨建て自由
CRS参加 2017年〜 2018年〜 2018年〜 2018年〜(マレーシア経由)

香港:非居住者設立と2段階利得税

香港の法人(株式有限責任私会社)は取締役が国籍・居住地を問わないため、日本在住のまま設立できます。会社登記局(Companies Registry)への電子申請費用はHK$1,545、事業登録料(1年証明書)はHK$2,200です。法人税(利得税)は2段階税率で、課税所得HK$200万以下に8.25%、超過部分に16.5%が適用されます。源泉地主義(Territorial Source Principle)を採用しており、香港外で発生した利益は課税されません。

2023年1月1日から多国籍企業グループを対象に外国源泉所得免税制度(FSIE)が施行されており、配当・利子・使用料・有価証券売却益について経済実質の要件が求められるようになっています。会計帳簿の保存期間は7年間です。日本との租税条約(2011年発効)により配当・利子・使用料の源泉徴収税率が定められています。当社は香港の設立代行を承っています。

シンガポール:17%一律税率とスタートアップ免除

シンガポールの法人(Pte. Ltd.)は課税所得に対して一律17%の法人税が適用されます。新設法人は設立後3課税年度に大幅な免除が受けられ、課税所得SGD10万のうち75%、次のSGD10万のうち50%が免除されます。ただし取締役のうち1名以上がシンガポール居住者(市民・永住権者・就労ビザ保有者)でなければならず、日本から設立する場合は名義取締役(Nominee Director)の利用が一般的です。

GST(消費税)は2024年1月1日から9%です。就労ビザ(EP)の最低月給基準は2025年以降SGD5,600であり、COMPASSフレームワークのスコア審査も行われます。当社はシンガポールの設立代行は行っておらず、情報提供と相談受付のみです。

マレーシア:地域統括拠点と居住者優遇

マレーシアの法人(SDN BHD:Sendirian Berhad)は一般法人税率が24%ですが、中小企業には中小企業軽減税率が適用されます。マレーシアは南東アジアの地域統括拠点として整備されており、製造業・サービス業の進出企業向けに各種インセンティブが設けられています。外国資本の出資比率は業種によって規制があり、金融・通信・ブミプトラ優先分野などに制限が設けられています。

就労ビザとしてEmployment Pass(EP)とMyカードが選択肢になります。クアラルンプールはオフィス賃料・生活費の面で香港・シンガポールより低水準であるため、コスト効率を重視する企業に選ばれることがあります。当社はマレーシアの設立代行を承っています。

ラブアン:低税率の国際ビジネス法人

ラブアンはマレーシア連邦直轄領であり、ラブアン国際ビジネス金融センター(IBFC)の枠組みで国際ビジネス向けの特別税制が提供されています。ラブアン会社の取引所得(Trading Income)には一律3%の法人税が適用されます(2019年に廃止された定額選択制は現在利用できません)。非取引所得(投資所得)は課税されません。ラブアンは香港・シンガポールと比較して認知度が低いため、取引先への説明が必要になるケースがあります。

ラブアン会社の設立と運営には、ラブアン当局(Labuan FSA)のライセンスを持つ登録代理人(Registered Agent)が必要です。実体要件(Substance Requirements)として、従業員数と支出額の基準を満たすことが求められます。2021年の改正以降、実体要件が強化されており、事務所・従業員・意思決定のラブアン現地での実態が問われます。要件を満たすためにはラブアン事務所のコストと人員確保の計画が欠かせません。CRS(共通報告基準)はマレーシア経由で2018年から自動情報交換に参加しています。当社はラブアンの設立代行を承っています。

銀行口座開設の難易度

4拠点の銀行口座開設難易度はそれぞれ異なります。香港は2017年以降マネーロンダリング対策の強化により審査が厳格化しており、実質的支配者の登録(SCR)・資金源の説明・取引先情報の詳細な提出が求められます。シンガポールも同様に厳格で、対面面談を求める銀行が多くなっています。マレーシア・ラブアンは香港・シンガポールと比べると審査が行いやすい傾向がありますが、ラブアン会社はFSA認可を受けた登録代理人との連携が前提となります。いずれも口座開設の可否は各行の審査基準によって最終的に決まります。

維持コストの目安

法人の年間維持コストは設立登記料だけでは測れません。会社秘書役・法定監査・年次申告・会計帳簿作成・税務申告・登録事務所費用・コンプライアンス費用などが加算されます。香港は事業登記料HK$2,200のほかに、年次報告料HK$105と会社秘書役・会計費用が必要です。シンガポールは年次申告料SGD60に加え、名義取締役(Nominee Director)サービス・会計費用が年間コストに含まれます。ラブアンは登録代理人費用が必須であり、実体要件を満たすための事務所・人員コストも考慮が必要です。

4拠点の選択基準

事業モデルと居住計画によって最適な拠点は異なります。以下に代表的なシナリオを整理します。

  • 日本在住のまま設立したい:香港またはラブアンが候補です。シンガポールは居住取締役が必要なため名義取締役の手配が必要です。
  • 現地移住・ビザを取得して経営したい:シンガポール(EP)、マレーシア(EP・MM2H)、香港(起業家ビザ)が選択肢になります。
  • 貿易・コンサルティングで法人税を抑えたい:ラブアンは取引所得3%の低税率ですが、実体要件の充足が前提条件です。
  • 金融・ファンド・IP管理:香港(FSIE対応必要)またはシンガポールの専門レジームを活用します。それぞれ専門資格・ライセンスの取得が求められる場合があります。

日本の税制との関係

日本居住者が4拠点の法人を設立する場合、日本の外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用を確認する必要があります。実効税率が20%未満の場合、その所得が日本の株主の所得に合算されて課税される可能性がある制度です。香港(8.25%〜16.5%)・ラブアン(取引所得3%)は20%未満となります。シンガポール(17%)・マレーシア(24%一般)は基準に近いか超えますが、免除・インセンティブ後の実効税率が変動することに留意が必要です。

CRS(共通報告基準)に基づき、4拠点はいずれも日本と金融口座情報の自動交換に参加しています。海外口座の情報は日本の国税庁に届いています。経済活動基準(事業基準・実体基準・管理支配基準・所在地国基準)をすべて満たす場合は合算課税から除外されますが、要件の充足は個別の事業実態によって異なります。個別の税務判断は必ず税理士にご相談ください。

4拠点を比較して設立先の無料相談を申し込む

当社(ADEG)は香港・マレーシア・ラブアンの設立代行を承っており、シンガポールについては情報提供と相談受付を行っています。4拠点の比較検討から現地手続きまで、各国で認可を受けた現地事業者と連携してサポートします。お問い合わせはお電話(050-4560-1792、平日10:00〜19:00)またはフォームからどうぞ。費用の詳細は料金ページに掲載しています。

各拠点の詳細は以下の個別記事をご参照ください。香港とシンガポールの比較、ラブアンと香港の違い、香港とマレーシアの比較。

海外法人設立を検討しています。まず何から始めればよいですか?

まず無料相談(30分・Zoom)でご状況をお聞かせください。担当者が事業内容・目的・日本での税務状況をうかがい、設立候補国の選定と費用感についてご説明します。設立前に国際税務を専門とする税理士にもご相談されることをお勧めします。

どの国での設立が自分に向いていますか?

事業内容・取引先・日本での税務状況・ビザの必要性によって異なります。大まかには、香港は国際的な貿易・サービス業で活動実態が香港外にある事業、ラブアンは国際的な投資持株・金融サービスで実質要件を充足できる事業、マレーシアは現地市場参入や就労ビザが必要な事業に向いています。詳しくは対応国の比較ページをご覧ください。

日本語でサポートを受けられますか?

はい。担当者との相談・書類の説明・進捗報告はすべて日本語で行います。受付時間は平日10:00〜19:00(日本時間)です。

設立後のサポートもありますか?

はい。設立後の年次申告書・法定監査・会社秘書役サービス・役員変更などの手続きも対応しています。設立後のサポート内容・費用については料金ページまたは担当者にご確認ください。

出典

  • 香港内国歳入局(IRD)「2段階利得税 FAQ」(確認日 2026-10-17)https://www.ird.gov.hk/eng/faq/2tr.htm
  • 会社登記局「手数料」(確認日 2026-10-17)https://www.cr.gov.hk/en/services/fees.htm
  • シンガポール内国歳入庁(IRAS)「法人税率・免除制度」(確認日 2026-10-17)https://www.iras.gov.sg/taxes/corporate-income-tax/basics-of-corporate-income-tax/corporate-income-tax-rate-rebates-and-tax-exemption-schemes
  • ラブアン FSA「会社法」(確認日 2026-10-17)https://labuanibfc.com/companies/
  • マレーシア内国歳入局(LHDN)「法人税率」(確認日 2026-10-17)https://www.hasil.gov.my/en/corporate-tax/company/
  • 国税庁「外国子会社合算税制 Q&A」(確認日 2026-10-17)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180111/pdf/01.pdf

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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