海外法人はどこの国に設立すべきか

最終更新 (日本時間) 執筆 KSKパートナーズ株式会社

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海外で法人を設立する目的は、事業の国際展開・コスト削減・グローバル取引の拡大などさまざまです。「どの国を選ぶか」は、税制・設立要件・ビザ・銀行口座の審査難易度・日本の税制との関係を総合的に判断しなければなりません。香港・ラブアン・マレーシア・シンガポール・ドバイ(UAE)・米国の6地域はそれぞれ税制・設立コスト・居住要件が異なります。

国を選ぶ5つの判断軸

設立先を絞り込むには、次の5つの軸で各国を評価することをお勧めします。

  • 法人税率と課税の仕組み:源泉地主義・全世界所得課税・特別税率(オフショア制度)のいずれかで大きく異なります。
  • 設立・維持コスト:公的手数料のほかに、会計・秘書役・監査の年間費用が加わります。
  • 居住取締役と実体(Substance)の要件:非居住者だけで設立できるかどうかが大きな分岐点です。
  • ビザと在留権:現地に移住・駐在したい場合は就労ビザの取得しやすさが判断基準になります。
  • 銀行口座の審査難易度:法人設立後に口座が取得できなければ事業を動かせません。

主要6地域の特徴比較

地域 主な法人税率 非居住者のみの設立 ADEGの対応
香港 8.25%(HK$200万以下)/ 16.5% 可 設立代行あり
ラブアン 3%(取引活動)/ 0%(非取引) 可 設立代行あり
マレーシア 24%(中小企業優遇あり) 不可(常駐取締役必須) 設立代行あり
シンガポール 17%(新設免除制度あり) 不可(居住取締役必須) 情報提供・相談のみ
ドバイ(UAE) 9%(フリーゾーン優遇あり) フリーゾーンは可能なケースあり 情報提供・相談のみ
米国(デラウェア等) 21%(連邦法人税) 可(州により異なる) 情報提供・相談のみ

各地域の特徴

香港

香港は源泉地主義(Territorial Source Principle)を採用しており、香港外で行った取引の利益には原則として利得税(Profits Tax)が課されません。取締役に国籍・居住地の要件はなく、日本在住のまま法人を維持できます。製造・貿易・コンサルティングを海外で完結させる事業形態に適しています。会社登記局(Companies Registry)への電子申請による設立登記料はHK$1,545、事業登録局への事業登録料はHK$2,200(1年証明書)です。2017年からCRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報の自動交換が始まっています。

ラブアン

ラブアン(マレーシア連邦直轄地)はラブアン金融サービス機関(LFSA)が監督するオフショア金融センターです。取引活動に対して3%(監査済み純利益の3%)、非取引活動に対して0%という低税率が適用されます。ただし実体要件(Substance Requirement)として、ラブアン島内に物理的なオフィス・フルタイム従業員・運営費用が必要です。設立にはLFSAの認可を受けたラブアントラスト会社(LTC)を通じた手続きが必須です。名称予約はUSD30、登記費用はUSD300(資本金RM5万以下)から始まります。実体要件を満たせない場合はマレーシア国内税率(24%)が適用されます。

マレーシア

マレーシアは東南アジアの製造・サービス拠点として実績があります。法人税率は24%ですが、中小企業(SME)向けにはRM15万以下の課税所得に15%が適用されます。少なくとも1名のマレーシア常駐取締役が必要であるため、現地スタッフや名義取締役サービスの利用が一般的です。エンプロイメントパス(Employment Pass)を取得して自身が常駐取締役になる選択肢もあります。2026年6月1日以降、EP申請には区分ごとに月額RM5,000以上の給与基準があります。

シンガポール

シンガポールは法人税率17%の一律課税で、スタートアップ向けの税免除制度が充実しています。金融・テック・フィンテック分野のグローバル企業が集積しており、エコシステムの成熟度は東南アジアで最も高水準です。ただし居住取締役(シンガポール市民・永住者またはEP保有者)が1名必須です。ADEGはシンガポールの設立代行を行っていませんが、進出を検討している方には情報提供と相談を行っています。

ドバイ(UAE)

UAEは2023年6月以降、連邦レベルの法人税(9%)が導入されました。フリーゾーン企業は適格フリーゾーン法人(QFZP)の要件を満たす適格所得について0%が維持されています。ゴールデンビザや投資家ビザの取得が比較的容易なことから、資産管理目的や中東・アフリカ市場へのアクセス拠点として検討されます。ADEGはドバイの設立代行を行っていませんが、情報提供と相談に応じています。

米国

デラウェア州LLC・C-Corpは国際的に認知度が高く、VC資金調達や米国市場への参入を目指す場合に有効です。連邦法人税は21%で、外国人所有のLLCは米国内収入がない場合でもForm 5472の提出義務があります。申告を怠った場合の罰金は1件につき USD 25,000 です。ADEGは米国の設立代行を行っていませんが、情報提供と相談に対応しています。

年間維持コストの目安

設立後の年間維持コストは、公的手数料だけでなく会計・秘書役・監査・ビザ管理の費用を合算して見積もる必要があります。香港では年次報告書(Annual Return)のHK$105が公的手数料ですが、会社秘書役・会計・税務申告を外部委託すると追加費用が発生します。ラブアンでは年次更新料がUSD1,000(2026年1月1日以降)で、さらに認可されたラブアントラスト会社(LTC)への年間費用が加わります。マレーシアは年次報告(RM150)のほかに、監査免除基準を満たさない場合は監査費用が生じます。当社の料金は料金ページをご覧ください。

事業タイプ別の選択例

トレーディング・越境EC

海外の仕入先から商品を購入し第三国へ販売する事業では、取引が香港外で完結する場合に香港の利得税が課されない点が注目されます。香港法人を中間法人として活用するスキームは従来から利用されてきましたが、日本の外国子会社合算税制の適用・税務当局の実態確認・経済実質の立証が重要な論点です。個別の判断は税理士に依頼してください。

IT・コンサルティング

クラウド環境で完結するITサービスやコンサルティング業は、物理的な在庫を必要とせず比較的柔軟に設立地を選べます。シンガポールはグローバルなIT人材・投資家とのネットワーク形成に強みがあります。一方、非居住者のみで運営し低コストで維持したい場合は香港が選択肢に入ります。

製造業の海外子会社

製造拠点を東南アジアに置く場合は、マレーシアの労働コスト・インフラ・日系企業の集積地(ペナン・ジョホール等)が検討対象となります。マレーシア投資開発庁(MIDA)が外国投資を支援し、Employment Pass 申請にも所定の資本要件が設けられています。現地常駐取締役の要件もあるため、実態を伴った拠点設置が前提となります。

日本の税制との関係

日本居住者が海外法人の株式を50%超保有する場合(直接・間接の合算)などに、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用が問題になります。この制度は、外国子会社の実効税率が20%未満の場合に、その所得を日本の株主に合算して課税する仕組みです。香港(8.25%〜16.5%)・ラブアン(3%/0%)はいずれも20%を下回る可能性があり、経済活動基準(事業基準・実体基準・管理支配基準・所在地国基準)の充足が不可欠です。シンガポール(17%)もスタートアップ免除適用後の実効税率によっては注意が必要です。

さらにCRS(共通報告基準)に基づき、各国の金融機関は日本居住者の口座情報を日本の国税庁に自動報告しています。香港は2017年から、シンガポール・マレーシアは2018年から情報交換を実施しています。日本居住者が5,000万円超の国外財産を保有する場合は国外財産調書の提出義務も生じます。また、海外送金が1回100万円を超える場合は金融機関から国税庁への報告が行われます。これらの要件は個々の状況によって異なるため、必ず税理士にご相談ください。

設立候補国を絞り込んで無料相談を予約する

当社(ADEG)は香港・ラブアン・マレーシアの法人設立代行を行い、各国で認可を受けた現地事業者と連携してサポートします。シンガポール・ドバイ・米国については情報提供のうえ相談を受け付けています。当社のサービス内容は海外法人設立の支援ページをご覧ください。各地域の詳細な比較は香港とシンガポールの比較・香港とマレーシアの比較もご参照ください。

海外法人設立を検討しています。まず何から始めればよいですか?

まず無料相談(30分・Zoom)でご状況をお聞かせください。担当者が事業内容・目的・日本での税務状況をうかがい、設立候補国の選定と費用感についてご説明します。設立前に国際税務を専門とする税理士にもご相談されることをお勧めします。

どの国での設立が自分に向いていますか?

事業内容・取引先・日本での税務状況・ビザの必要性によって異なります。大まかには、香港は国際的な貿易・サービス業で活動実態が香港外にある事業、ラブアンは国際的な投資持株・金融サービスで実質要件を充足できる事業、マレーシアは現地市場参入や就労ビザが必要な事業に向いています。詳しくは対応国の比較ページをご覧ください。

日本語でサポートを受けられますか?

はい。担当者との相談・書類の説明・進捗報告はすべて日本語で行います。受付時間は平日10:00〜19:00(日本時間)です。

設立後のサポートもありますか?

はい。設立後の年次申告書・法定監査・会社秘書役サービス・役員変更などの手続きも対応しています。設立後のサポート内容・費用については料金ページまたは担当者にご確認ください。

個人でも法人でも設立の依頼ができますか?

はい。日本居住の個人および法人(株式会社など)からのご依頼に対応しています。設立に際して日本法人の要件が追加される場合もあるため、詳細は無料相談でご確認ください。

出典

  • 香港内国歳入局(IRD)「2段階利得税 FAQ」(確認日 2026-10-17)https://www.ird.gov.hk/eng/faq/2tr.htm
  • ラブアン金融サービス機関(LFSA)「ラブアン事業活動税法」(確認日 2026-10-17)https://www.lfsa.gov.my/
  • マレーシア内国歳入局(LHDN)「法人税率」(確認日 2026-10-17)https://www.hasil.gov.my/
  • シンガポール内国歳入庁(IRAS)「法人税率・免除制度」(確認日 2026-10-17)https://www.iras.gov.sg/taxes/corporate-income-tax/basics-of-corporate-income-tax/corporate-income-tax-rate-rebates-and-tax-exemption-schemes
  • UAE 連邦税務局(FTA)「法人税」(確認日 2026-10-17)https://tax.gov.ae/en/taxes/corporatetax.aspx
  • 米国内国歳入庁(IRS)「Form 5472 Instructions」(確認日 2026-10-17)https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-5472
  • 国税庁「外国子会社合算税制 Q&A」(確認日 2026-10-17)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180111/pdf/01.pdf

この記事は、公的機関が公開している情報をもとに、制度の一般的な内容を説明したものです。個別の税務の判断は税理士が行います。制度は改正されることがあるため、手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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